はじめに
「背骨を整えると良い」とよく言われますが、
その背景には 神経の血流(栄養血管:vasa nervorum / vasa radiculorum) に関する
医学的な知見があります。
背骨のゆがみや姿勢の崩れが続くと、その周りを通る 神経の根本(脊髄神経根) に負担がかかりやすくなり、その部分は解剖学的に 血流が変化しやすい=影響を受けやすい構造 であることが多数の研究で示されています。
このページでは、海外の解剖学・神経学の文献に基づき、一般の方にもわかりやすく 「なぜ背骨のケアが重要なのか」 をまとめています。
(※以下の内容は医学的知見の紹介であり、施術による効果を保証するものではありません。)
背骨の周りには“神経の栄養血管”が集まっている
神経には vasa nervorum(栄養血管) と呼ばれる細かい血管が存在し、神経が正常に働くための酸素・栄養を届けています。
特に背骨から出る 脊髄神経根(root) は、通常の末梢神経とは異なる 特殊な血管構築 を持つことが分かっています。
Parke & Watanabe(1985,1986)の研究
腰椎〜仙骨レベルの剖検・動物実験から、
- 脊髄神経根には vasa radiculorum(神経根の栄養血管) が存在
- 微小血管ネットワークが複雑で、機械的ストレスや炎症で血流が変化しやすい構造
- 神経根症状は「圧迫だけでなく、血流(虚血)も関与する」と示唆
これらの研究は、
「神経根は構造上デリケートで、負担が続くと血流が低下しやすい」
という現在の考え方の原点となりました。
姿勢の崩れや背骨のゆがみと“神経の血流”
猫背・反り腰・骨盤の傾きなどにより、
背骨まわりの組織には次のような変化が起きることがあります。
- 筋肉・靭帯の緊張が増える
- 神経の通り道が狭くなる
- その周囲を走る vasa radiculorum が圧迫されやすくなる
- 神経が過敏になり、違和感・重だるさが続きやすい
コリの正体の一つとされる“スパズム(血管攣縮)”について
一般的に「コリ」と表現される状態の一部には、
筋肉やその周囲の血管が一時的に収縮(スパズム:血管攣縮)し、血流が低下している状態
が関係すると言われています。
血流が低下すると酸素の供給が弱まり、
筋肉や神経が過敏になり、重だるさや違和感として感じられることがあります。
これは、脊髄神経根の微小血管(vasa radiculorum)が
姿勢の乱れや周囲組織の緊張で影響を受けやすい構造である
とした Parke(1985)、Watanabe(1986)らの報告とも矛盾しません。
※これは一般的な生理学的説明であり、
特定の症状の原因を断定したり、施術効果を保証するものではありません。
狭窄症研究で分かってきたこと
Watanabe & Parke(1986)によると、脊柱管狭窄症の例では、動作時に神経根血流が変動虚血により“異常インパルス(しびれ感)”が生じうるという病態仮説が提出されています。
これにより、
神経の周囲環境(ゆがみ・姿勢・負担)を整える重要性がより明確になってきました。
動物研究でも一致した傾向
Pettersson(1989)はラットの神経根血流を解析し、神経根の毛細血管は ストレスに対して脆弱である
という構造的特徴を示しました。
この知見は、
「神経根は血流が変わりやすい → 姿勢・負担の影響を受けやすい」という臨床的な肌感覚を裏付けています。
つまり背骨まわりは“血流と神経”の要所
最新の総説(Bosmia 2015、StatPearls 2023 など)では次のように整理されています。
- radicular artery / radiculomedullary artery は神経根へ血流を供給
- 一部は脊髄動脈とも連結し、背骨の安定性と神経栄養を担う
- ここを損傷・圧迫すると神経根症状+脊髄虚血の両方が起こりえる
つまり、背骨周囲は
「神経の働き・血流・姿勢の安定」の3要素が密接に関わる部位です。
背骨を整えることが大切と考えられる理由
※整体・カイロによる効果を断定するものではありません。
一般的な健康科学としての説明です。
① 神経の通り道の“物理的ゆとり”が生まれやすい
背骨の配列が整うことで、
神経根周囲の組織の緊張が均等になりやすくなり、
「圧迫されやすい構造」を避けやすいという考え方があります。
② 栄養血流(vasa radiculorum)が働きやすい環境になる
“圧迫 × 炎症 × 姿勢悪化”の組み合わせが続くと、神経根周囲の血流は変動しやすいと言われています。
背骨の動きが整うことで、血管が引き伸ばされ続けたり、周囲組織が一方向に偏って緊張する状況を避けやすくなります。
スパズムと背骨バランスの関係(一般的な考え方)
姿勢の崩れや背骨まわりの緊張が続くと、筋肉や血管が収縮しやすくなり、スパズム(血管攣縮)によって一時的に血流が低下すると考えられることがあります。
背骨や骨盤まわりの動きが整うと、周囲組織の緊張が偏りにくくなるため、血流が働きやすい環境づくりに役立つ可能性があるとされています。
※効果を断定するものではありません。
※あくまで一般的な健康科学の説明です。
③ 自律神経のバランスが整いやすい
脊柱(とくに頸椎〜胸椎)は自律神経系と密接に関係しており、姿勢や呼吸が整うとリラックスしやすいことが知られています。
④ 全身の回復力が働きやすい環境づくり
背骨が整うことで、
- 呼吸が深くなる
- 体幹が安定する
- 立ち・歩きの負担が分散する
など、身体の“土台部分”が整いやすくなります。
当院の考え方
当院では、
ボキボキしない、やさしい振動の医療機器 と
頭〜背骨〜骨盤を中心に整えるカイロプラクティック を組み合わせ、
背骨まわりの動きや姿勢のバランスを整えるサポートを行っています。
背骨を整えることは、
「神経が働きやすい環境づくりの一つ」
という考え方に基づいています。
※症状の改善を保証するものではありません。
※医療行為ではありません。
まとめ
- 神経根には 特殊な栄養血管(vasa radiculorum) が存在
- 姿勢・負担・ゆがみで血流が影響を受けやすい
- それを示した研究が複数存在
- 背骨を整えることは
“神経が働きやすい環境づくり”と考えられている
背骨は、
「神経 × 血流 × 姿勢」の要となる場所。
日常のケアとして大切にしていただきたい部分です。






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いきいき鳥栖北整骨院・整体院でございます。